BtoBの広告運用入門!出稿までの流れや成果を高めるポイントを解説
BtoBの広告運用は、リード獲得数を増やすために有効な施策です。ただし、一口に広告といってもリスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などの種類があるため、各媒体の特徴を把握した上で優先施策を決めることが重要です。
BtoBの広告媒体の選び方や広告出稿の流れ、CV数やクリック数、CPAなどの成果を改善するためのポイントについて解説します。
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目次[非表示]
BtoBの運用型広告の手法
まずは、BtoBの運用型広告の手法について、特徴を把握しておきましょう。主な広告手法は次の通りです。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告
リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンの結果画面に表示される広告です。ユーザーが何らかのキーワードを検索した際に、自社の広告を表示することができます。
調べ物をしていて、課題解決への意欲や購買意欲が比較的高いユーザーにリーチできることがリスティング広告の特徴です。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、ブログやニュースサイト、アプリなどの配信面に表示される広告です。Webサイトやアプリの利用者を幅広くターゲティングでき、リスティング広告よりも多くのユーザーにアプローチできます。
ユーザーの属性や興味・関心、閲覧しているコンテンツの種類など、様々な条件を組み合わせてターゲティングできることがディスプレイ広告の特徴です。また、テキストだけでなく静止画や動画を含む広告クリエイティブも利用できます。
Google広告とYahoo!広告の違い
「リスティング広告」や「ディスプレイ広告」を出稿できる主な媒体は、Google広告とYahoo!広告です。各サービスで、広告の掲載先やターゲティング機能、リーチできるユーザー属性などに違いがあります。
どちらのサービスが適しているかは、業界や商材などによって異なるため、一概には言えません。まずは両方を運用してみた上で成果を比較し、より費用対効果が良い方に予算を集中させるなどの判断を行うことがおすすめです。
SNS広告
SNS広告とは、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのSNSに配信できる広告です。SNSを閲覧しているユーザーのタイムライン上で、他のユーザーの投稿のような形式で広告を表示できます。
ユーザーの属性によって細かなターゲティングをしやすいことや、「いいね」などのリアクションによって拡散される可能性があることなどがSNS広告の特徴です。
BtoBの広告運用を始める前の準備
ここからは、BtoBの広告運用を始めるための準備について確認していきましょう。広告運用の準備として決めるべき内容は次の2つです。
- どの層を狙うかを決める
- 狙う層に合わせて広告媒体を決める
どの層を狙うかを決める
広告の運用を開始する際は、まずどの層を狙うかを明確にしましょう。原則としては、ニーズが明確で成果につながりやすい顕在層からターゲティングすることが効果的です。
ただし、市場が未成熟でユーザーがニーズ・課題を言語化できていないケースでは顕在層のユーザーが少なく、広告を出してもリード数が増えにくいことがあります。その場合、潜在層からアプローチし認知を広げていきましょう。
狙う層に合わせて広告媒体を決める
どの層を狙うかによって、最適な広告媒体は異なります。
顕在層をターゲットとして広告を出稿する場合、検索エンジンで能動的に情報を探しているユーザーにアプローチできるリスティング広告が、最初に取り組むべき媒体です。
潜在層にアプローチしたい場合は、幅広いユーザーから認知を獲得できるFacebook広告やディスプレイ広告が適しています。
ターゲットと媒体が決まったら、広告を出稿するための作業を進めていきましょう。
ここからはリスティング広告、Facebook広告、ディスプレイ広告の出稿方法について順番に解説していきます。
BtoBの広告運用法1. リスティング広告の出稿
顕在層向けの施策としてリスティング広告を出稿する方法と、成果を出すためのポイントを解説します。リスティング広告を出稿する流れは次の通りです。
- KPIの目標値を決める
- 顕在層向けキーワードを選定する
- キャンペーン、広告グループを設計する
- 広告の見出し、説明文を作成する
KPIの目標値を決める
まずは、 リスティング広告の成果を測る目標値として、次のようなKPIを設定しましょう。
・CVR
CVR(コンバージョン率)は、広告がクリックされた回数に対してコンバージョンが発生した件数の割合を指す指標です。リスティング広告のCVRは、ホワイトペーパーや資料請求、問い合わせなど何をコンバージョンとするかによって変わります。CVRの目安は次の通りです。
コンバージョンの種類 |
CVRの目安 |
---|---|
ホワイトペーパーダウンロード |
5%~8% |
サービス資料請求 |
1%~2% |
問い合わせ |
0.5%~1% |
・CPA
CPAはコンバージョンを1件獲得するためにかかった単価を表す指標です。CVRと同様に、CPAの目安もコンバージョンの種類によって変わります。
コンバージョンの種類 |
CPAの目安 |
---|---|
ホワイトペーパーダウンロード |
5,000円~10,000円 |
サービス資料請求 |
25,000円~50,000円 |
問い合わせ |
50,000円~100,000円 |
コンバージョンを1件獲得するためにかけられるCPAの上限金額は、受注時に得られる収益から計算することが可能です。例えば、1件の受注で発生する収益が30万円、サービス資料請求10件に対して1件の割合で受注が獲得できる場合、CPAの上限金額は次のように求められます。
30万円(受注1件あたりの収益)÷10件(受注1件獲得に必要な資料請求数)= 3万円(上限CPA) |
・CPC
CPCとは広告クリック1回あたりの広告費用を表す指標です。リスティング広告のCPCは、狙うキーワードや競合広告主の出稿状況、広告の品質などによって変わります。
キーワードごとのCPCの相場は、Google広告の「キーワードプランナー」やYahoo!広告の「最適化提案(旧キーワードアドバイスツール)」などの機能で調べることが可能です。標準的な場合は100円~200円前後、競合性が高いキーワードの場合は500円以上のCPCとなることもあります。
・CTR
CTR(クリック率)とは、広告が表示された回数に対するクリック数の割合を表す指標です。CTRは広告文の内容や掲載順位などによって変わります。CTRの目安は2%~5%程度、広告とキーワードの関連性が高い場合には10%以上となることもあります。
顕在層向けキーワードを選定する
リスティング広告を運用する際は、コンバージョンに至る可能性が高い顕在層向けキーワードを選定することが重要です。自社の商品・サービスのターゲット層で、課題解決の手段を探している人が検索しそうなキーワードを選びましょう。
例えば、Webサイト制作サービスの広告を出稿する場合、「サイト制作」や「LP改善」、「CMS」などがコンバージョンに近いキーワードです。
十分な検索ボリュームがあるか、入札単価が合うかといった点も確認する必要があります。Google広告の「キーワードプランナー」やYahoo!広告の「最適化提案(旧キーワードアドバイスツール)」を用いて、検索ボリュームが多く、目標CPCに近い単価で出稿できるキーワードを選定しましょう。
予算に余裕があれば、自社の商品やサービスの名称でもリスティング広告を出稿することがおすすめです。SEOの成果に左右されず、検索画面の上部に自社のWebサイトを表示できます。
キャンペーン、広告グループを設計する
運用型広告のアカウントには、「キャンペーン」と「広告グループ」と呼ばれる単位があります。キャンペーンや広告グループで設定できることは媒体によって若干異なるものの、アカウントの中にキャンペーンを作成し、キャンペーンの中に広告グループを作成するという基本的な仕組みは共通です。
多くの広告媒体で、キャンペーンごとに上限予算の設定ができます。例えば、商材Aについて宣伝するキャンペーンでは1日あたり5,000円まで、商材Bについて宣伝するキャンペーンでは1日あたり10,000円までなど、キャンペーン単位で予算を配分することが可能です。
キャンペーンの中に作成する広告グループでは、広告を出稿するキーワードや広告文の内容などを設定できます。例えば、ある広告グループには顕在層向けのキーワードと広告文を含め、別の広告グループには指名検索向けのキーワードと広告文を含めるといった設定が可能です。
ただし、広告グループを細かく分けすぎると運用データが集まるまでに時間がかかってしまい、機械学習による「自動最適化」がうまく機能しない場合があります。ニーズが似ているキーワードは同じ広告グループにまとめるなど、適度にグルーピングすることがアカウント設計のポイントです。
広告の見出し、説明文を作成する
リスティング広告のクリエイティブは、上部に表示される「見出し」と、下部に表示される「説明文」で構成されます。
見出しと説明文は、広告を出稿する検索キーワードを含めることが重要です。また、商品やサービスの特徴をわかりやすく簡潔に表現すると、CTR(クリック率)を高められます。
例えば、「CMS」というキーワードに対する広告クリエイティブの例は次の通りです。
狙いたいキーワードを実際に検索し、表示される競合の広告文と比較しながら、目立たせる工夫をするとクリックされやすくなります。
コンバージョンを獲得するためには、単にクリックされやすい広告文を作るだけでなく、広告文とランディングページに一貫性を持たせることも大切です。ランディングページの訴求内容もふまえて、広告の見出しと説明文を作りましょう。
広告運用を開始する
キャンペーンや広告グループの設定、広告クリエイティブの入稿が完了すると、広告が表示され始めます。
広告運用の開始後は、コンバージョン数やCPA、CVR、CTR、CPCなどの指標を確認し、必要に応じて調整を行いましょう。主な作業は、コンバージョンにつながるキーワードを特定して予算を集中させることや、広告文・ランディングページの改善などです。
BtoBの広告運用では資料請求などのコンバージョンだけでなく、その後商談化したかどうかまで見て、広告の効果を判断する必要があります。
BtoBの広告運用法2. Facebook広告の出稿
次に、Facebook広告の運用方法について見ていきましょう。
SNS広告の中でも、ビジネス用途のユーザーが多いFacebookに出稿できる「Facebook広告」はBtoBマーケティングに適した媒体です。
ターゲティングの精度が高いため、ユーザーの興味関心と商材との親和性が高い場合は、潜在層向けの施策として優先的に活用することをおすすめします。
Facebook広告運用の流れは次の通りです。
- 何をCVにするのかを決める
- 訴求別にクリエイティブを作成する
- 広告のターゲット設定をする
何をCVにするのかを決める
まずは、Facebook広告で何をコンバージョンとして訴求するかを決めましょう。ホワイトペーパーのダウンロードやセミナー参加、問い合わせなどを訴求することで、潜在層をリード化できます。
訴求別にクリエイティブを作成する
Facebook広告では、テキストだけでなく画像や動画なども含むクリエイティブを出稿できます。潜在層のユーザーに訴求するためには、「わざわざ検索することはなくても言われてみれば共感できる課題」をクリエイティブに含めることが効果的です。
例えば、Webマーケティングツール「ferret One」のFacebook広告では、Webサイト制作の生産性アップという切り口で訴求を行っています。
ターゲットが潜在的に抱えている課題に対して、Facebook広告のクリエイティブを作成しましょう。
広告のターゲット設定をする
Facebook広告では、ターゲットの細かな設定が可能です。ユーザーの地域や年齢、性別などの基本的な設定のほか、次のようなターゲット設定を利用できます。
・リターゲティング
リターゲティングは、一度Webサイトにアクセスした人に広告を配信する機能です。Facebookピクセルと呼ばれるタグを発行してWebサイトに設置することで、リターゲティングを利用できます。
過去にコンバージョンした人のデータをカスタマーリストとしてFacebookにアップロードし、ターゲティングすることも可能です。
・類似オーディエンス
類似オーディエンスの機能を使うと、過去にコンバージョンした人のデータをもとに、類似性の高いユーザーをターゲティングできます。行動パターンや属性が似ているユーザーに広告を配信し、コンバージョンの可能性を高められることが類似オーディエンスの特徴です。
・デモグラフィック、興味関心による詳細ターゲット
詳細ターゲット設定の機能では、ユーザーの利用者データや興味関心に基づくターゲティングが可能です。自社の商品・サービスに関連したキーワードを含む投稿をした人などを狙って広告を配信できます。
広告運用を開始する
Facebook広告のアカウント設定を行い、広告審査が終わると、広告が表示され始めます。広告クリエイティブに使用する画像によっては審査に通らないこともあるため、必要に応じて修正しましょう。
また、リスティング広告と同様に、成果が出ているキャンペーンに予算を集中させたり、広告クリエイティブやランディングページを改善したりする作業も行いましょう。
BtoBの広告運用法3. ディスプレイ広告の出稿
ディスプレイ広告を出稿する際は、Facebook広告と同様に、ユーザーニーズに合ったクリエイティブ作成やターゲティング設定などを行います。ディスプレイ広告運用の流れは次の通りです。
- 何をCVにするのかを決める
- 訴求別にクリエイティブを作成する
- 広告のターゲット設定をする
何をCVにするのかを決める
まずは、潜在層にアプローチするために、どのようなコンバージョンポイントを用意するべきかを考えましょう。ホワイトペーパーやセミナーなどのコンテンツは、自発的に検索行動を取っていないユーザーの興味を引くために有効です。
訴求別にクリエイティブを作成する
ディスプレイ広告では、テキストと画像を使った広告を出稿できます。ブログなどの内容を閲覧しているユーザーの興味を引くためには、一目で理解できるような広告クリエイティブを作ることが重要です。
画像の中に含めるコピーの文字数を絞るなど、視認性が高まるように工夫しましょう。
また、ディスプレイ広告にはサイズや形状が異なる複数の掲載面があります。どのようなレイアウトで画像・テキストが表示されても内容が伝わるように、画像とテキストの内容をセットで考えることもポイントです。
広告のターゲット設定をする
ディスプレイ広告では、大きく分けて「リマーケティング」と「ターゲティング」の2種類の設定が利用できます。各設定の特徴は次の通りです。
・リマーケティング
Google広告やYahoo!広告の管理画面からタグを発行し、自社のWebサイトなどに設置することで、一度訪れたユーザーを対象に広告を表示できます。また、Google広告の「カスタマーマッチ」や、Yahoo!広告の「オーディエンスリスト」などの機能を用いると、過去にコンバージョンしたユーザーのデータをリストとしてアップロードしターゲティングに利用できます。
・ターゲティング
ユーザーの興味関心や属性などに基づいてターゲティングを行うことも可能です。トピックやテーマを指定することで、関連性の高いWebサイトやブログなどの配信面に自社の広告を掲載できます。
広告運用を開始する
クリエイティブやターゲティングの設定が完了すると、広告が表示されます。広告の掲載先やターゲット設定などによる成果の違いを確認し、予算配分やクリエイティブの改善などの調整を行いましょう。
BtoBの広告運用の成果を改善するチェックポイント
リスティング広告やFacebook広告、ディスプレイ広告を運用する際は、定期的に成果をチェックし、状況に応じて最適化を行うことが重要です。ここでは、運用型広告の成果を改善する流れについて解説します。
- クリックされているか
- CV(コンバージョン)が足りているか
- CTA(コンバージョン単価)が適切か
- デバイスごとにパフォーマンスに差がないか
クリックされているか
まずは、広告のクリックが発生しているかどうかを確認しましょう。十分なクリック数が得られていない場合、インプレッション(表示回数)を増やすか、CTR(クリック率)を高める対策が必要です。
インプレッション自体が少ない場合は、キーワードの検索ボリュームが小さすぎたり、ターゲット設定が狭すぎたりする可能性があります。検索ボリュームが大きいキーワードを追加する、ターゲット設定を見直すなどの調整を行いましょう。
CTRが低い場合は、広告クリエイティブのブラッシュアップや、キーワードの入札単価調整などが有効です。ユーザーの興味を引くような訴求を広告文に含める、入札単価を高めて広告がより目立つ位置に表示されるようにするなどの改善を行いましょう。
CV(コンバージョン)が足りているか
広告がクリックされているにもかかわらず、CVが少ない場合は、CVR(コンバージョン率)を高めるための対策が必要です。
広告文とランディングページの訴求内容が合っているか、ランディングページで商品・サービスの魅力は十分に伝わっているかなどを確認しましょう。
ランディングページのコンバージョン率を高める方法については、下記の記事を参考にしてください。
CPA(コンバージョン単価)が適切か
コンバージョンが発生しているものの、CPA(コンバージョン単価)が上限値を超えてしまっている場合、CPC(クリック単価)を抑える、CVR(コンバージョン率)を上げるなどの対策を行います。
ただし、入札単価を下げすぎると広告の掲載順位が下がり、インプレッションやクリック数が減ってしまうリスクがあります。CPAとコンバージョン数のバランスを見ながら、最適なCPCになるように調整を行うことが重要です。
デバイスごとにパフォーマンスに差がないか
PCやスマホ、タブレット端末など複数のデバイスに広告を出稿している場合、デバイスごとにパフォーマンスの差がないかを確認しましょう。
特定のデバイスで成果が低い場合、ランディングページの見え方の違いなどが影響している可能性があります。端末による見え方の違いを確認した上で、デザインやコピーライティングなどを改善しましょう。
BtoBの広告運用のポイントをおさらい
- 基本的に、顕在層向けのリスティング広告が優先度の高い施策
- 潜在層向けにリーチを広げる際はFacebook広告やディスプレイ広告が効果的
- リスティング広告ではコンバージョンに近いキーワードを選ぶことが重要
- Facebook広告、ディスプレイ広告では細かなターゲット設定が可能
- CV数やCPA、CVR、CTR、CPCなどの指標を確認して改善を行う
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BtoBマーケティングでは広告だけでなく、自然検索からの流入を獲得するためのBtoBサイト制作も重要です。次の記事では、BtoBサイト制作のポイントについて解説します。