BtoBセミナーのチェックリスト|企画から集客、開催後のフォローまで解説
BtoB向けのセミナーやウェビナーを開催すると、見込み顧客を獲得したり、検討度合いを引き上げて商談につなげたりすることが可能です。セミナー・ウェビナーを実施するためには、企画の立案や集客用ページの作成など様々な準備を行う必要があります。
BtoB向けのセミナー・ウェビナーについて、企画の立て方から運営準備、集客、開催後のフォローまで、押さえておくべきポイントを解説します。
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目次[非表示]
1. セミナーの目的と種類を理解する
セミナーは新規リードの獲得と、見込み顧客のナーチャリングの両方に使える汎用的な手法です。セミナーには複数の種類があり、目的によって最適なものが異なります。主なセミナーの種類は次の通りです。
目的 |
種類 |
認知拡大 |
カンファレンスや共催セミナー |
興味・関心の引き上げ |
企業の課題解決に役立つノウハウを紹介するセミナー |
検討度合いの引き上げ |
事例セミナーやサービス紹介セミナー |
認知拡大に適したセミナー
認知の拡大が目的の場合、カンファレンスや共催セミナーが適しています。業界のトレンドや最新情報を発信するカンファレンスなら、幅広いターゲット層にリーチすることが可能です。また、共催セミナーでは自社だけではアプローチが難しいターゲット層に認知を広げられます。
興味・関心の引き上げに適したセミナー
見込み顧客の興味関心を引き上げたい場合、企業の課題解決に役立つノウハウを紹介するセミナーがおすすめです。ノウハウセミナーを開催すると、自社の課題に気付き情報収集をしている顕在層と接点を作れます。
見込み顧客の悩みの解決に役立つ情報を提供しつつ、自社製品へのニーズを喚起できるため、商談につなげるストーリーが描きやすいこともノウハウセミナーの特徴です。
検討度合いの引き上げに適したセミナー
自社の商品やサービスに興味を持っている見込み顧客に対して、検討度合いを引き上げたい場合、事例セミナーやサービス紹介セミナーが適しています。
事例セミナーでは、既存顧客の成功事例を紹介し、商品・サービスで課題を解決する具体的なイメージを持ってもらうことが可能です。サービス紹介セミナーでは、商材の特徴や他社サービスとの違いを訴求したり、見込み顧客からの疑問に答えたりすることで意思決定の後押しができます。
2. 開催するセミナーの企画を立てる
セミナーを開催するにあたって、始めにやるべきことはセミナーの企画作りです。ここでは、セミナーの企画を立てる下記のステップについて解説します。
①セミナーの種類を決める |
①セミナーの種類を決める
まずは、セミナーの種類を決めましょう。認知拡大が目的であればカンファレンスや共催セミナー、検討度合いの引き上げなら事例セミナーやサービス紹介セミナーなど、目的に応じて開催するセミナーの種類を決めます。
②ターゲットを明確にする
どのような企業の誰をターゲットとするかは、セミナーの内容を考えるために重要なポイントです。企業の属性や担当者の役割、状態などを明確化しましょう。例えば、次のようなターゲット設定が考えられます。
企業属性 |
BtoB企業 |
役割 |
マーケ部門・営業部門の責任者、展示会担当者 |
状態 |
・定期的に展示会に出展しているが、その後のフォローが上手くできず悩んでいる ・展示会への出展を検討中。展示会の流れや展示会後のフォローについて学びたい |
③セミナーの形式を決める
セミナーの形式には、プレゼンテーションやパネルディスカッション、ワークショップなど種類があります。
プレゼンテーション形式
プレゼンテーション形式は、参加者に対して登壇者が講義を行う一般的なセミナー形式です。ノウハウを紹介する場合など、まとまった量の情報を伝えたい場合にはプレゼンテーション形式が適しています。
パネルディスカッション形式
パネルディスカッション形式は、あるテーマに対して複数名の登壇者が意見を交わすような形式です。カンファレンスや共催セミナーなど、登壇者が複数名いる場合に適しています。また、何名かの既存顧客に登壇してもらうタイプの事例紹介セミナーでも、パネルディスカッション形式が効果的です。
ワークショップ形式
ワークショップ形式は、参加者自身が取り組むワークを通じて理解を深めるセミナー形式です。ツールの使い方を体験してもらいたい場合などには、ワークショップ形式が向いています。
これらの形式の中から、セミナーの目的に応じて最適なものを選びましょう。
④タイトル・テーマを決める
セミナーのタイトルやテーマが抽象的だと、何について学べるかが明確に伝わらず、参加者から「思っていた内容と違う」と感じられてしまうリスクがあります。そのため、タイトルやテーマはできるだけ具体的に決めることが大切です。
セミナーで扱うテーマは、集客数にも影響します。セミナーを何度か開催し、テーマによる集客数の違いを把握すると、次回以降のテーマを決める際の参考になります。
学べる内容やテーマについては、セミナー当日の冒頭でも改めて話すと、内容を理解してもらうために効果的です。
⑤概要文を作成する
セミナーの概要を説明する文章は、集客のためのLP(ランディングページ)にそのまま記載できる形で作成しましょう。概要文に含めるべき情報は、「学べる内容」や「対象者」、「セミナーで解決できる悩み・課題」などです。
参加者側がどのようなメリットを得られるかという視点を意識すると、セミナーに参加したくなる魅力的な概要文が作成できます。
⑥セミナー開催日時を決める
セミナーを開催する日時は、ターゲットの属性などを考慮して決めることがおすすめです。一般的に、月曜日や金曜日、月末などは参加者が集まりにくいため、週半ばの日時が推奨されます。
大手企業をターゲットとする場合、昼休みを必ず取る企業が多いため、ランチタイムの開催は避けたほうが無難です。ベンチャー企業が対象のセミナーは、17時以降の時間帯に開催すると集客が増えやすい傾向があります。
やむを得ず、参加が難しい日程での開催となる場合は、開催後に確認できるアーカイブ配信の用意を検討しましょう。
⑦当日の流れ(タイムライン)を決める
開場から講演開始、質疑応答の時間まで、セミナー当日のタイムラインを決めます。セミナーで伝える情報量に応じて、適切なタイムラインを設定することが重要です。
パネルディスカッション形式の場合は、1テーマにつき15分~20分程度の時間が目安です。1回のセミナーにつき2つのテーマを扱うケースが多いため、合計で40分程度を想定しておくことが推奨されます。
⑧目標を決める
セミナーを開催する際は、イベント自体への申込数や出席数だけでなく、イベントから商談(アポ)や案件化につながった件数なども目標として設定しましょう。セミナーを通じて最終的に獲得したい受注数から逆算して、商談数や参加数の目標を決めることがポイントです。
BtoBのマーケティング施策で管理するべき目標値については、下記の記事を参考にしてください。
3. 運営準備をする
セミナーの企画が決まったら、運営するための準備を進めましょう。主な準備作業は次の通りです。
投影資料を作成
パワーポイントなどのツールを用いて、イベント当日に投影するスライド資料を作成します。スライドは1ページにつき1つのテーマを意識し、伝える情報を絞ることがわかりやすい資料を作るポイントです。
セミナーでスライド資料を表示する場合、視聴者が利用しているデバイスによっては画面が小さいこともあります。スマホなど小さな画面で見てもわかりやすいように、スライドに含めるテキストは可能な限り短く簡潔にしましょう。さらに、図解を活用すると直感的に理解しやすい資料が作れます。
ウェビナーの場合はZoomの準備
オンラインで開催するウェビナーの場合、配信ツールの「Zoom」の利用がおすすめです。Zoomアカウントは、必ずウェビナー配信専用のものを用意しましょう。
一般的なWeb会議などに利用されているZoomは「Zoom Meetings」というもので、無料アカウントの場合は最大で100名、アドオンの追加で最大1,000名まで接続できます。
参加者が500名以上となるイベントなら、「Zoom Webinars」というウェビナー専用のプランがおすすめです。「Zoom Webinars」では、Q&Aや待機ルームなど、通常のZoomアカウントとは異なる機能が利用できます。想定している参加者の規模によってプランを選択しましょう。
ウェビナーの実施日時が決まったら、日程を指定して配信用のURLを作成します。また、配信を主宰するホスト以外に登壇者がいる場合は、パネリスト用のURLを発行することも、準備項目のひとつです。
参加後のアンケート作成
セミナー参加後に実施するアンケートは、セミナー終了後のアプローチや、セミナー内容を改善していくために重要です。アンケートには次のような項目を含めましょう。
- セミナーに対する感想
- 自社サービス・商品への興味度
- 現在抱えているビジネス上の課題
例えば、「サービスについて詳しく知りたい」や「商品・サービスの資料が欲しい」、「ツールのデモを利用してみたい」と回答した参加者がいた場合、購入期待度が高いと考えられます。これらの参加者に対して優先的にアプローチすると、商談につなげることが可能です。
また、アンケートへの回答を促進するためには、回答者への特典を用意することが効果的です。当日のスライド資料データのダウンロードなど、回答者への特典を用意しましょう。
ただし、資料を配布する場合は、共有NGの情報が含まれていないかどうかのチェックが必要です。情報を安全に共有するため、投影資料とは別に配布用の資料を用意することが推奨されます。
4. セミナー集客をする
セミナー開催前の準備と並行して、集客のためのLPやフォームの作成なども進めましょう。セミナー集客の流れや、主な集客方法は次の通りです。
- LP作成
- 申し込みフォーム作成
- ハウスリストへのメルマガ配信
- 自社SNSでの告知
- 広告出稿
- コーポレートサイトへの掲載
- プレスリリース配信
- 外部媒体への掲載
LP作成
BtoBセミナーの内容を伝え、参加を促すためのLPを作成します。集客期間を確保するために、セミナー開催日の1か月前、遅くても2週間前までにはLPを公開することがおすすめです。
LPに含めるべき主な要素は次の通りです。
- セミナーの概要をわかりやすく伝えるファーストビュー
- セミナー参加で得られるメリットなど興味・関心を高める情報
- セミナーの価値を裏付けるエビデンスとなる情報
- 参加者の声や推薦コメントなど信頼性を高める情報
- 参加を促すクロージング
上記の流れに沿ってLPの文章を書くことで、セミナーに参加するメリットを効果的に伝えられます。LPの作り方については、下記の記事を参考にしてください。
申し込みフォーム作成
セミナーに参加するための申し込みフォームも作成しましょう。
BtoBセミナーの申し込みフォームには、業界や従業員数、興味があるテーマなどについての項目を含めることが重要です。申し込みフォームで企業の属性や課題感を把握しておくと、セミナー終了後のアフターフォローで商談につなげやすくなります。
ただし、項目数を増やしすぎると入力の手間が増え、申し込みにくくなってしまう点に注意が必要です。セールス担当者の意見も参考に、フォームで取得する必要最小限の項目を設定しましょう。
ハウスリストへのメルマガ配信
LPと申し込みフォームの準備が整ったら、セミナー集客を開始します。ハウスリストのメルマガでセミナーの告知をすることは、効果的な集客方法のひとつです。
ハウスリストへのメルマガ配信であれば広告費がかからないため、コストを抑えて集客できます。また、すでに自社と接点のあるリストは、広告などで接触する新規のターゲットと比べて反応を得やすいこともメリットです。
自社SNSでの告知
自社のSNSアカウントを運用している場合は、セミナー集客に活用できます。セミナーで学べる内容や対象者など、SNSユーザーの興味を引く情報を投稿してLPへのアクセスを集めましょう。
SNS上では、他のユーザーからのリアクションが得られることもあります。「内容に興味がある」や「参加が楽しみ」といったアクションがあれば、それらに対して反応していくことで信頼性を高めたり、リーチを伸ばしたりすることが可能です。
広告出稿
BtoBセミナーの集客には、Facebook広告や外部メディアのメール広告が適しています。
Facebookはビジネス目的のユーザーが多いため、自社がターゲットとする企業の担当者へアプローチできます。属性やユーザーの興味・関心などで細かくターゲティングできることもFacebook広告のメリットです。
ビジネス向けメディアのメール広告では、積極的に情報収集をしている企業の担当者を対象にセミナーを告知できます。セミナーの内容やターゲットに応じて、広告掲載するメディアを適切に選ぶことがポイントです。
BtoBの広告運用に関する詳しい内容は、下記の記事を参考にしてください。
コーポレートサイトへの掲載
自社のコーポレートサイトにも、セミナーの案内を掲載しましょう。ニュースやお知らせを表示する欄や、トップページのバナーなどからLPへのリンクを張ると、サイト訪問者を誘導できます。
テキストだけでなく、画像も利用してセミナー情報を目立たせることが、コーポレートサイトに掲載する際のポイントです。
プレスリリース配信
セミナー開催に関するプレスリリースを配信すると、幅広いターゲット層に知ってもらえます。特に、カンファレンスや共催セミナーなど、認知拡大を目的としたセミナーではプレスリリースによる集客が効果的です。
プレスリリースからセミナーへの参加を促すためには、タイトルの文章で対象者や学べる内容を明示する必要があります。自社のターゲット企業から興味を持ってもらえるように、セミナーの魅力を簡潔に伝えるタイトルを考えましょう。
外部媒体への掲載
セミナーやイベントなどの情報を紹介している外部媒体に掲載することも、セミナー集客手法のひとつです。
「Peatix」や「セミナーズ」などの媒体に掲載すると、セミナー情報を探しているユーザーを対象として参加を促せます。Peatixやセミナーズは有料イベントへの申し込みが発生した時のみ掲載料が発生するため、費用対効果が高いこともメリットです。
5. セミナー開催前にリマインドする
セミナーを開催する際は、申込者に対するリマインドが欠かせません。セミナーに申し込んだ人の内、実際に参加する人の割合は60%程度が目安です。開催前にメールなどによるリマインドを実施することで、参加率を高められます。
可能であれば、セミナー開催日の1週間前や3日前、前日または当日など複数回リマインドすることが理想的です。また、当日にスムーズに参加できるように、会場へのアクセス方法や配信ページのURLなどの案内も記載しましょう。
6. セミナー参加者の課題・ニーズを把握する
セミナー参加者の課題やニーズを把握しておくと、開催後のフォローの際に、課題解決に役立つソリューションをスムーズに案内できます。参加者の課題・ニーズを把握する方法は次の通りです。
参加申込フォームに課題に関する項目を設定
セミナーの参加申し込みフォームに、課題に関する項目を設定しましょう。想定される課題が絞り込める場合には、選択式の項目を用意しておくと、入力の手間を減らせます。
セミナー開催前にも接触
購入期待度が高い見込み顧客には、セミナー開催前に接触し、課題感を把握しておくことも効果的です。申込時の情報をもとに、課題解決の緊急度やサービス導入の検討度が高いと判断されたターゲットには、インサイドセールスを通じて電話・メールなどでアプローチを行い、ヒアリングしておきましょう。
セミナー開催中に質問を受け付ける
セミナー当日に質疑応答の時間を設けることによっても、参加者のニーズや課題を把握できます。登壇者による講義のパートが終わった後に10分~15分程度の時間を設けるなど、質問を受け付けられるようにすると、その場でニーズを把握することが可能です。
アンケートで課題を確認
セミナー終了後に記載してもらうアンケートにも、課題やニーズに関する項目を用意できます。セミナーの内容や運営に関する項目に加えて、解決したいと思っている課題や、検討中のサービスなどについての項目も用意しましょう。
7. セミナー開催後のフォロー方法を決める
セミナーから商談へつなげるためには、参加直後で興味関心が高まっているタイミングでフォローすることが重要です。セミナー開催後のフォロー方法を事前に決めておくことで、スムーズにアプローチができ、商談につながりやすくなります。
セミナー開催後のフォローのポイントは、「アプローチの優先順位」と「ターゲットの温度感に応じたアプローチ」です。
アプローチの優先順位
フォローをする主な方法として、メールまたは電話が挙げられます。ただし、セミナー参加者の数が多い場合、参加者全員に対して電話によるアプローチをすることは困難です。また、見込み度が低いターゲットに対して電話でアプローチをしても、商談につながらない場合があります。
そのため、アプローチの優先順位を決めた上で、適切な方法でフォローすることが大切です。セミナー申込時に取得した企業の属性情報や、セミナー終了後のアンケート結果などをもとに、見込み度の高い対象者を選定します。
見込み度が高いターゲットに対しては、インサイドセールスからの電話で優先的にアプローチすることで、効率的な商談化が可能です。それ以外のターゲットにはメールによるフォローを行い、見込み度を高めるためのアプローチを行いましょう。
ターゲットの温度感に応じたアプローチ
優先度の高いターゲットには、セミナー当日などできるだけ早いタイミングでインサイドセールスによるアプローチをすることが重要です。電話によるフォローで、詳しい説明を聞きたいという要望があった場合には、後日の商談の日程調整までその場で完了させます。
すぐの説明は不要という場合には、悩みや課題に応じたホワイトペーパーを案内し、1週間後などに再度アプローチすると商談につながる可能性があります。また、電話でコンタクトできないターゲットにはメールで情報を案内するなど、温度感に応じた方法でアプローチしましょう。
BtoBセミナー・ウェビナーのポイントをおさらい
- 目的に応じて適切な内容・形式のセミナーを企画する
- タイトルでは何の内容を学べるかを明確に示す
- 投影資料や配布資料の作成、ウェビナー向けZoomアカウント設定などの準備を行う
- セミナー集客の方法にはメルマガ配信やSNSでの告知、広告など複数の種類がある
- セミナー開催前のリマインドで参加率を高める
- セミナー開催前や開催中に参加者の課題・ニーズを把握する
- セミナー開催後のフォローで商談につなげる
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次の記事では、リード化した見込み顧客に電話やメールでアプローチし、商談化につなげる「インサイドセールス」について解説します。