BtoBマーケティング戦略の設計方法をステップごとに解説
BtoBマーケティングの施策によってリード(見込み顧客)や受注を増やすためには、はじめに全体的な戦略を設計することが重要です。自社や競合他社の強み、ターゲットなどを踏まえて戦略を作ることで、広告やコンテンツマーケティング、インサイドセールスなどの成果を最大化できます。
この記事では、数多くのBtoB企業のマーケティング支援を行う「Lead Growth」のノウハウをもとに、自社の強みの特定や競合調査、KPIの設定などのBtoBマーケティングの戦略設計について詳しく解説します。
BtoBマーケティング戦略設計にお困りではないですか? ・BtoB事業のマーケティングが初めてで、どこから手をつけていいか分からない |
目次[非表示]
BtoBマーケティングとは?
BtoBマーケティングの戦略を設計していくための準備として、まずは前提となる基礎知識を押さえておきましょう。
BtoB(Business to Business)マーケティングとは、企業を対象とした製品・サービスを販売するための一連の施策のことです。BtoBマーケティングの具体例として、次のような施策が挙げられます。
- イベント出展やセミナー開催によるリード獲得
- 企業サイトやオウンドメディアへのアクセスを増やすSEO施策
- サービス資料やホワイトペーパーを活用したコンテンツマーケティング
- Web広告やSNS広告の運用
- 情報提供によって購買意欲を高めるリードナーチャリング
- インサイドセールスによる商談獲得
これらの施策により、リードを効率的に獲得し、商談・受注へとつなげることが可能です。
BtoBとBtoCのマーケティング戦略の違い
BtoBと、個人の消費者を対象とするBtoC(Business to Consumer)では、マーケティング施策に次のような違いがあります。
BtoB |
BtoC |
|
ターゲット |
企業 |
個人 |
ターゲットの数 |
少ない |
多い |
購入までの検討期間 |
長い |
短い |
購入の意思決定者 |
現場の担当者と決裁権者が |
購入者本人であることが多い |
訴求するべき内容 |
企業の課題解決、目標達成 |
個人的な悩みの解決、欲求満足 |
BtoBマーケティングの戦略を設計する際は、BtoCよりも検討期間が比較的長いことや、担当者と決裁権者が異なる場合があることなどに注意しましょう。
BtoBマーケティングにおける戦略設計の必要性
なぜ、BtoBマーケティングに取り組む際に、戦略設計を行う必要があるのでしょうか。主な理由は次の通りです。
施策の精度を高めるため
BtoBマーケティングの戦略設計を行うことで、自社が狙うターゲットを明確化し、施策の精度を高められます。また、競合と比べた自社の優位性を把握し、差別化を図りやすくなることも、戦略設計に取り組むべき理由です。
目標を効率的に達成するため
BtoBマーケティングの戦略設計では、売上や受注数、リード獲得数といった指標について目標設定を行います。戦略を設計しておくことで、施策の成否を定量的に評価し、改善することが可能です。
また、予算や人員配置なども計画的に決め、リソースを浪費を防いで効率的に目標達成に取り組めます。
部門間の連携を強化するため
受注数を増やすためには、マーケティング部門だけでなく、インサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスなど複数の部門との連携が欠かせません。
関係する部門間で自社のマーケティング戦略を共有しておくことで、施策を行う目的や達成すべき目標、ターゲット像などについて認識を合わせ、連携を強化できます。
BtoBマーケティングの戦略設計の流れ
ここからは、BtoBマーケティングの戦略設計を行う具体的な方法を見ていきましょう。
BtoBマーケティングの各施策の効果を最大化するための準備として、まずは
- 誰に
- どんな価値を
- どのように提供するか
を定めるマーケティング戦略設計を行う必要があります。
市場や自社の強み、顧客についてリサーチした上で、実施する施策の内容や優先順位などを決めていくことが、BtoBマーケティング戦略設計のおおまかな流れです。
戦略設計の最初のステップとして、自社の商品やサービスの強みを明確化しましょう。
1. 自社商品・サービスの「強み」を特定する
自社商品・サービスならではの強みを特定するためには、自社、顧客、競合に分けてリサーチを行う「3C分析」という手法が役立ちます。3C分析の主なリサーチ項目は次の通りです。
自社(Company) |
|
顧客(Customer) |
|
競合(Competitor)の機会と脅威 |
|
3C分析で情報を洗い出したら、次に自社商品・サービスの強みである「バリュープロポジション」を整理します。
バリュープロポジションとは、顧客のニーズに対して、自社だけが提供でき、競合他社は提供できない価値のことです。
例えば、
低コストで導入できるSaaS型の営業支援ツールで、成果を出すための伴走サポートも提供
商品パッケージのデザイン・製造だけでなく、販売戦略の立案や施策の実施までサポートできる
など、バリュープロポジションを具体的に言語化しましょう。
2. 競合のBtoBマーケティング戦略を調査する
次のステップは、競合のマーケティング戦略の調査です。
BtoBビジネスでは、製品やサービスの導入を検討する担当者の多くが、Webサイト上での情報収集を行っています。そのため、競合のWebサイト上でどのような訴求が行われているかを調べておくことが、マーケティング戦略を設計する上で欠かせない作業です。
競合他社のWebサイトにアクセスし、商品・サービスの内容や、どのような点を強みとして打ち出しているかを調査しましょう。特に、Webサイトのトップページやランディングページの冒頭にあるキャッチコピーには、強みや特徴が一言でまとめられています。
また、導入事例が紹介されているページでは、競合他社がターゲットとしている顧客層や、商品・サービスが選ばれた理由などのリサーチが可能です。
3. BtoBマーケティング戦略のターゲットを整理する
続いて、自社がどのような顧客をターゲットにするかを整理しましょう。
ターゲットとなる顧客がわからない状態では、訴求するべき自社の強みや、発信するべきコンテンツなどを決めることができません。そのため、BtoBマーケティングの戦略を設計する段階で、できるだけ具体的にターゲットを設定することが重要です。
BtoBマーケティングにおいては、「組織ターゲット」と「個人ターゲット」の2つについて整理する必要があります。
組織ターゲットを設定する
BtoBの購買行動においては、担当者個人の都合ではなく、組織が抱える課題に基づいて判断が下されます。そのため、まずは組織のターゲットから設定することがポイントです。
組織ターゲットについて整理すべき項目として、次のようなものがあります。
- ターゲット企業の業種、業界
- 売上規模
- 従業員数
- 組織が抱えている課題
- 組織が商品、サービスを選定する上で重視する条件
これらの項目を具体的に洗い出し、組織ターゲットを明確化しましょう。
個人ターゲットのペルソナを設定する
BtoBマーケティングでは、BtoCで想定するような個人のライフスタイルや家族構成といった細かなペルソナまで設定する必要はありません。その代わりに、商品・サービスを現場で実際に利用する「担当者」と、購買の意思決定を下す「決裁者」に分けて、業務上の悩みや課題などを整理しましょう。
決裁者について整理すべき項目 |
|
担当者について整理すべき項目 |
|
顧客の解像度を高める
組織ターゲットと個人ターゲットを定めたら、顧客についての理解をさらに深めるための作業を行うことがおすすめです。
営業部や既存顧客、見込み顧客に対して次のような項目をヒアリングすると、ターゲット像がより明確になります。
営業部に対するヒアリング項目 |
|
既存顧客に対するヒアリング項目 |
|
見込み顧客に対するヒアリング項目 |
|
これらの項目をヒアリングすることで顧客の解像度を高め、質の高い施策を実行できるようにしましょう。
ただし、一口に「自社のターゲット」と言っても、商品・サービスの認知から購買に至るまでのどのフェーズに居るかは、企業によって異なります。
そのため、BtoBマーケティングの戦略を設計する上では、「ファネル」という考え方を用いて、ターゲットの行動を段階的に把握することが重要です。
4. BtoBマーケティング戦略の ファネルを理解する
BtoBマーケティングにおけるファネルとは、商品・サービスの認知から導入に至るまでのターゲットの検討度合いの段階を表したものです。
ファネルに含まれる各段階
一般的に、BtoBマーケティングのファネルは次の4つの段階に分けて考えます。
ファネルの段階 |
行動のフェーズ |
状態 |
---|---|---|
明確層 |
行動(購入) |
具体的な発注先を絞り込んでいる |
顕在層 |
比較・検討 |
課題への自覚があり解決策を模索中 |
準顕在層 |
興味・関心 |
課題を感じているが進んで情報収集はしない |
潜在層 |
認知 |
解決すべき課題がない、あっても認識していない |
ファネルの各段階ごとのニーズに適したコンテンツをサービスサイトに用意しておくと、検討度合いに応じた選別をある程度自動化し、受注獲得を効率化できます。
自社のファネルを理解する詳しい方法については、下記の記事でご覧ください。
ファネルの段階を遷移させるための活動
ターゲットの検討度合いを高め、ファネルの次の段階へと遷移させる活動には、
- リードジェネレーション(リード獲得)
リードナーチャリング(リード育成
リードクオリフィケーション(リード選別
商談・受注
というステップがあります。詳細については各記事で解説していますので併せてご覧ください。
リードジェネレーション(リード獲得)
リードジェネレーションとは、将来的に自社の商品・サービスを導入する可能性がある見込み顧客(リード)を増やすための取り組みです。リードジェネレーションには、広告やコンテンツマーケティング、セミナーなど様々な施策があります。
リードナーチャリング(リード育成)
リードナーチャリングとは、獲得したリードに対して情報提供などのアプローチを行い、検討度合いを引き上げる取り組みです。
リードクオリフィケーション(リード選別)
リードクオリフィケーションとは、リードの検討度合いを把握し、商談化・受注に近いホットリードを選別するための取り組みです。
商談・受注
検討度合いが十分に高まったリードを営業部門に引き渡し、受注につなげます。部門間で連携する仕組みを整え、十分な情報をもとにセールスを行うことが、受注率を高めるために重要です。
カスタマージャーニーを整理する
ファネルに加えて、「カスタマージャーニー」という考え方を用いると、ターゲットの行動フェーズごとに取り組むべき施策を整理できます。
カスタマージャーニーとは、ターゲットが商品やサービスの購入に至るまでの行動や状態などの一連の流れのことです。
ターゲットとのタッチポイントや検討度の引き上げに効果的なコンテンツなどの情報も加えて、カスタマージャーニーマップとして可視化すると、BtoBマーケティングで取り組むべき施策を明確にできます。
見込み顧客の検討度合いを引き上げていく際に、どのようなタッチポイントでどのようなコンテンツがあるとよいのかを検討し、今使えるコンテンツ、これから作るべきコンテンツを整理しましょう。
5. BtoBマーケティング戦略の KPIを設定する
次に、BtoBマーケティング戦略の目標設定について解説します。
BtoBマーケティングにおいて、最終的に達成するべき指標であるKGI(Key Goal Indicator)は「売上目標」です。そして、KGIを達成するために各施策が最適に実施されているかを定量的に評価する指標としてKPI(Key Performance Indicator)を定める必要があります。
例えば、売上目標を達成するために必要なリード獲得数は、主要なKPIのひとつです。リード獲得数は、売上目標の達成に必要な受注件数と、リードからの商談化率、商談からの受注率といった「商談プロセス係数」をもとに計算できます。
また、1件のリード獲得に対してかけられるコスト(CPA)も、BtoBマーケティングにおいて重要なKPIです。施策を行う上で定めるべきKPIの種類や設定方法については、下記の記事でご確認ください。
6. BtoBマーケティング 施策の内容と優先順位を決める
BtoBマーケティングには様々なリード獲得施策があるものの、必ずしも全ての施策を行うことが正解とは限りません。一般的には、成果につながりやすい顕在層向けの施策から取り組むことがセオリーです。
ただし、事業のフェーズや商品・サービスの単価、自社のリソースなどによって優先的に取り組むべき施策は異なります。例えば、広告予算やすでに獲得できているリストの有無など、状況によって施策内容は様々です。
BtoBマーケティングの戦略設計に必要なリサーチや情報の整理を行った上で、施策の優先順位を決めましょう。次の記事では、BtoBのリード獲得施策について詳しく解説します。
BtoBマーケティング戦略のポイントをおさらい
- BtoBマーケティングの最初のステップとして戦略設計が重要
- 戦略設計とは「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を定めること
- 自社や競合、ターゲットについてリサーチし、ファネルやカスタマージャーニーマップに落とし込む
- 全ての施策を行うのではなく、優先順位を決めて取り組むことが大切
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