BtoBの導入事例の作り方|取材や活用のポイントを解説
BtoBの導入事例を制作すると、自社のサービス・商品で解決できる課題や得られる成果を効果的にアピールできます。魅力的でわかりやすい導入事例を作るためには、資料に載せるべき情報や、既存顧客への取材方法について理解することがポイントです。
導入事例の作り方や取材の流れ、作成した導入事例の活用方法などについて解説します。
導入事例の制作にお困りではないですか? ・導入事例の制作が初めてで、進め方が分からない
|
目次[非表示]
導入事例の役割
導入事例の主な役割は、商品・サービスを導入した既存顧客の様子を伝え、リードの検討度合いを引き上げることです。
見込み顧客にとって、自社の課題を解決できそうかどうかは、導入の意思決定を行うための大事なポイントです。導入事例を紹介すると、自社に近い課題を持った企業が課題解決に至ったプロセスを追体験し、成果につながるイメージを持ってもらうことができます。
また、商品・サービスの機能や特徴を伝えることも、導入事例の役割のひとつです。既存顧客の声を通じて、商品・サービスの良さが客観的に伝わります。
1. 制作する導入事例のパターンを決める
導入事例の内容にはいくつかのパターンがあります。まずは、どのような内容で導入事例を制作するかを決めましょう。
成功事例
導入してしばらく経過した後の「導入した成果」を紹介するパターンです。売上アップやコスト削減、業務効率の向上など、数値化できる成果があると効果的にアピールできます。
成功事例は、見込み顧客からの信頼獲得やサービスに対する理解の促進にもつながるため、導入への強力な後押しが可能です。ただし、成果が出ていないと打診できず、紹介できる事例の数は少なくなります。
活用事例
導入してしばらく経過した後の「課題解決のための活用方法」を紹介するパターンです。導入前に抱えていた課題と、その解決のために商品・サービスをどのように活用したかを伝えます。
導入した際の具体的なイメージを持ちやすくなることが、活用事例のメリットです。また、成功事例より打診しやすいため、まだ成果の件数が少ない商品・サービスなどでも無理なく制作できます。
導入事例
導入した直後の「導入に至った理由」を紹介するパターンです。なぜ商品・サービスを導入するに至ったかという背景を伝えることで、検討中の見込み顧客の参考情報となり、導入の後押しにつながります。
活用事例と同様に打診しやすく、リリースから間もない新商品や新サービスなどでも制作しやすいことが導入事例の特徴です。
2. 事例の作り方の形式を選択する
事例の作り方の形式には、大きく分けて2つのパターンがあります。自社のリソース状況などに応じて、次のいずれかを選択しましょう。
テンプレート形式
予め決めたテンプレートに沿って取材を行い、導入事例を作成する方法です。テンプレートの内容として、次のような項目が挙げられます。
- 御社のサービスと〇〇様のお仕事を教えてください。
- サービス導入前はどのような課題がありましたか?
- 導入の決め手となったポイントは何でしょうか?
- 導入後、どのように活用していますか?
- 導入してどのような成果が上がりましたか?
常に同じ形式で事例を紹介できるため、導入事例の制作に慣れていない初心者にもおすすめです。また、制作側・顧客側ともに負担を減らし、工数を抑えて制作できます。
インタビュー形式
既存顧客にインタビューを行い、ヒアリングした内容をもとに導入事例を作成する方法です。顧客が抱えていた課題や商品・サービスの活用方法、得られた成果などについて、テンプレート形式よりも深い情報を引き出すことができます。
既存顧客と自社がやり取りしている様子を紹介することで、信頼性アップにつながることがインタビュー形式のメリットです。また、商品やサービスへの理解を促進できます。
ただし、インタビューやライティングを行う担当者の力量にクオリティが左右されるため、上級者向けの制作方法です。
3. 取材依頼をする
導入事例の内容や制作方法が決まったら、既存顧客に取材依頼をしましょう。
依頼する際には、取材の目的や事例を掲載する媒体などを伝えることがポイントです。企業によっては、自社の課題や成果を外部に出すことがNGというケースもあるため、公開可否を確認した上で取材する必要があります。
また、取材する企業側にとってのメリットも訴求することが大切です。導入事例の紹介が、取材対象企業のPRにもつながるようなコンテンツ制作を心がける旨を伝えましょう。
これらのほか、取材依頼時に確認すべき項目などを踏まえた、依頼メールのサンプルは次の通りです。
▼依頼メールサンプル
〇〇株式会社
ご担当者様お世話になっております。△△の▲▲と申します。
△△をご利用いただきありがとうございます。
このたび、弊社のサービスサイトに貴社の事例を掲載させていただきたく、ご連絡いたしました。下記の内容でお話をお聞かせいただきたく思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
■ 掲載場所
△△サービスサイト 導入事例ページ
https://xxxxxx
その他、ブログ、ランディングページなどに掲載させていただく場合もございます。
■取材チーム
▲▲、▲▲の〇名でお伺いいたします。
■ 内容
・貴社の事業内容とご担当者の役割について
・△△導入前の課題 (Webサイト制作やマーケティングの課題)
・△△導入の決め手
・△△を使ってやりたいこと■日時
以下より、ご都合の良い日程をお知らせいただければ幸いです
●月●日(●)●時~●時
●月●日(●)●時~●時
●月●日(●)●時~●時
※予定時間は1時間■対談場所
御社にお伺いいたします。※当日は、インタビュー中のお写真を撮らせていただきます。
貴社サービスの認知拡大にもつながるよう、クオリティを意識したコンテンツ制作をいたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
インタビューは、可能であれば対面で行うほうが話しやすく、カメラマンが同行することでインタビュー風景の写真を撮影できるため効率的です。
インタビュイーの人数は、多すぎると情報をまとめることが難しくなる場合があります。ツールを選定した人と、実際に使用している人の2名、多くても3名までの参加となるように依頼することがおすすめです。
4. 取材を通して必要な要素を揃える
導入事例を制作するために取材時にヒアリングしておくべき要素として、次のような項目が挙げられます。
前提となる情報
まずは、前提となる情報として、インタビュイーの企業の事業内容や、導入している商品・サービス、担当者の所属部署などの大枠を確認しましょう。具体的な内容に入る前に前提情報を紹介することで、内容がわかりやすくなるだけでなく、読者の共感にもつながります。
前提情報を聞くための質問例は次の通りです。
- 貴社の業種/事業内容についてお聞かせください
- インタビュイー様の所属部署についてお聞かせください
- インタビュイー様の担当業務や、可能であればミッションなどをお聞かせください
導入前の課題
商品・サービスの導入前にどのような課題を抱えていたかを確認しましょう。導入によって実現したかったことがわかると、同様の課題を抱えている他の企業からも共感を得やすくなります。また、実現したかったことを単に聞くだけでなく、その理由までヒアリングすると、より深い情報を引き出すことが可能です。
課題に関して、過去に取り組んだことのある施策や失敗談、その理由などもヒアリングしておくと、導入の背景が伝わりやすくなります。
課題についての質問例は次の通りです。
- 『〇〇』を知ったきっかけについてお聞かせください
- 導入・ご利用前の課題についてお聞かせください
- 複数ございましたら、できればすべてお聞かせくださいますと幸いです
- 目的に関して、定量目標があった場合は大まかでかまいませんので、数字もお聞かせくださいますと幸いです
商品・サービスを選択した理由
なぜ、自社の商品・サービスを選択したのか、導入に至った背景を確認しましょう。商品やサービスを知ったきっかけや、導入検討時に重視したポイント、他社ではなく自社を選んだ決め手などをヒアリングします。
商品・サービスを選んだ決め手に関する質問例は次の通りです。
- 『〇〇』以外に、候補に挙がっていたサービスがございましたらお聞かせください
- 数あるサービスの中で、『〇〇』を選んだ理由(貴社にとってポイントとなった部分)についてお聞かせください
導入プロセス
導入にある程度の期間がかかる商品・サービスの場合、導入のプロセスについても確認しましょう。使うことを決めてから稼働開始までにかかった期間や、事前に行った設定作業などを質問します。
導入プロセスに関する質問例は次の通りです。
- 導入・ご利用を決めてから、実際に開始するまで、どれくらいの期間がかかったかをお聞かせください
導入後の活用方法
課題解決のために、自社の商品・サービスをどのように活用しているかを確認しましょう。特にどのようなシーンで価値を感じているかをヒアリングすると、導入検討をしている人にとってイメージがわきやすくなります。
導入後の活用方法についての質問例は次の通りです。
- 運用にあたり、準備をされた点やより効率的に利用できるように工夫されている点などございましたらお聞かせください
導入後の成果や変化
商品・サービスの導入後に行った施策で、成果の出たものについてヒアリングしましょう。売上アップやコスト削減など、数字で見える成果や変化が確認できると、商品・サービスの価値を客観的に伝えることが可能です。
また、「売上拡大を目的として導入した結果、採用活動における信頼性も向上した」などの副次的な効果も確認します。
導入後の成果や変化についての質問例は次の通りです。
- 『〇〇』の導入・ご利用により、得られた効果をお聞かせください
- 削減できたコストや時間など、定量的な効果についてお聞かせください
- 周囲の反響や業績への影響など、定性的な効果についてお聞かせください
5. 取材した内容を整理する
取材を終えた後は、情報を整理することで事例としてまとめていきます。情報をまとめる際のポイントは次の通りです。
読みやすい文章に整える
インタビューで聞いた内容をそのまま記事にしてしまうと、途中で話が前後するなど、文章として読みにくくなってしまいます。関連する内容はまとめる、本題と関連性の低いトピックは割愛するなど、読みやすい文章に整えましょう。
タイトルを決める
事例の内容が一言でわかり、読む人の興味を引くようなタイトルを決めることも重要です。成果や実績についての数字や「時短」、「無料」といったキーワードを含めると、目を引きやすくなります。
6. ターゲット企業に近い事例を作る
一般的に、ユーザーが導入事例を見る際には、自社と似たような企業の情報を参考にします。そのため、自社のターゲット像に近い事例を掲載すると、導入事例によるリード獲得や導入促進の効果を高めることが可能です。
ターゲットとする業界や業種、事業規模などが近い既存顧客に取材し、導入事例を作成しましょう。また、同じような課題感を持った企業の導入事例を掲載すると、自分ごと化してもらいやすいコンテンツが作れます。
7. 大手企業の事例を作る
ネームバリューのある大手企業が自社の商品・サービスを利用している場合、導入事例として紹介することで信頼感が増し、ブランド価値が高まります。
ただし、紹介されている事例が大手企業ばかりだと、中小企業は対象外だと思われ、顧客獲得のチャンスを逃してしまうリスクがあります。自社がターゲットとする企業が自分ごととしてイメージしやすい事例と、ブランディングとしての大手企業の事例をバランスよく掲載することがおすすめです。
8. 導入事例を活用する
導入事例は、自社のサイトに掲載するだけでなく、営業資料や展示会など様々なシーンで活用することが可能です。ここでは、導入事例の主な活用方法を紹介します。
サービスサイトに記事や動画コンテンツとして掲載
自社の商品・サービスを紹介するサービスサイトで導入事例を掲載すると、リード獲得や興味度の引き上げにつながります。事例を紹介する記事として掲載するほか、取材時のインタビューを編集して動画コンテンツとして掲載することも、活用方法のひとつです。
BtoBのサービスサイトを制作する流れやポイントについては、下記の記事を参考にしてください。
LPに掲載
Web広告をクリックした先で表示されるLP(ランディングページ)でオファーする資料として、導入事例が有効です。商品・サービスによって解決できた課題や、得られた成果などの一部をLPで紹介し、詳しく知りたい人に導入事例のダウンロードを促すことで、リード情報を取得できます。
LPの制作方法については、下記の記事を参考にしてください。
ホワイトペーパーとして配信
ホワイトペーパーとは、見込み顧客の課題解決に役立つ情報をまとめた資料のことです。業界に関する調査データや、自社のノウハウなどをホワイトペーパーとして公開すると、リード獲得やリードナーチャリングができます。
導入事例も、ホワイトペーパーとして配信することが可能です。業界別や課題別などの切り口で導入事例をまとめると、ターゲットユーザーの興味を引きやすくなります。
ホワイトペーパーの制作方法や活用のポイントについては、下記の記事を参考にしてください。
メルマガで配信
メルマガのコンテンツとしても、導入事例を活用できます。本文の中で事例を紹介すると、メルマガの内容を充実させ、満足度を高めることが可能です。また、メールでは事例の概要だけを紹介し、詳細はサービスサイトなどに記載すれば、サイトへのアクセスを促せます。
メルマガに登録時にユーザーの業界を取得している場合、導入事例と同じ業界のユーザーに絞ってメールを配信することで、開封率などを高められます。
SNSで広告配信
Facebookなどビジネス目的のユーザーが多いSNSは、BtoBマーケティングに適しています。Facebook広告で導入事例のダウンロードをオファーすることで、認知の拡大やリード獲得が可能です。
BtoBの広告運用については、下記の記事を参考にしてください。
プレスリリースで配信
導入事例をプレスリリースで配信すると、幅広いユーザーに知ってもらうことができます。際立った成果を解決した事例や、有名企業の事例がある場合、プレスリリースによる配信が有効です。導入事例を切り口として、自社の商品やサービスの認知度を高められます。
営業資料に掲載
導入企業を営業資料に掲載すると、解決できる課題や得られる成果を伝えやすくなります。また、商品・サービスの価値を客観的に証明するエビデンスとしても、導入事例が有効です。営業先の企業と業界や企業規模、課題感などが似ている導入事例を掲載し、訴求力を高めましょう。
展示会でブースに掲載
展示会のブースに導入事例を掲載すると、来訪者の興味を引き、商談につながるきっかけが得られます。インタビューを動画コンテンツとしてブース内で再生しておくことも、来訪者の注意を引くために効果的です。
インサイドセールスで活用
電話やメールなどでリードにアプローチし、商談につなげるインサイドセールスにも、導入事例を活用できます。インサイドセールスの対象企業に近い事例をフックとして、自社の商品・サービスが課題解決に役立つことを伝えることが可能です。
インサイドセールスを実施する際のポイントについては、下記の記事を参考にしてください。
BtoBの導入事例制作のポイントをおさらい
- 既存顧客の成果を紹介し、リードの検討度合いを引き上げることが導入事例の役割
- 取材依頼時は事例の使用用途や掲載媒体、取材趣旨などをわかりやすく伝える
- 導入事例には導入前の課題やツールの選択理由、活用方法、成果などを含める
- ターゲット企業に近い事例や大手企業の事例が効果的
- 制作した導入事例はWebサイトやメルマガ、営業資料など複数の用途で活用できる
> これらBtoBマーケティングの進め方をまとめたチェックリストをダウンロードする
私たち「Lead Growth」は、導入事例の制作を支援します。 |
BtoBマーケティングにおいては、導入事例だけでなく、サービスや商品の特徴や強みを詳しく伝える「サービス紹介資料」も用意すべきコンテンツのひとつです。次の記事では、サービス紹介資料の制作方法や活用のポイントについて解説します。